地方消滅の罠

地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)
山下 祐介
筑摩書房
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増田寛也さんの「地方消滅」を読んだときになんとなく感じた違和感の正体がわかった気がしました。
増田さんのレポートの人口減少の現実はしかkりと受け止め、その対策を施さなくてはなりません。
しかし増田さんのレポートに記載の対策「選択と集中」は地方中核都市に予算を集中し、それ以外の町村の消滅を加速させることになりかねず、地方消滅という衝撃的な言葉でいたずらに危機感を煽り、それを防ぐためにはもうこの道しかないと、ある方向へ無理やり人々を先導しようとする意図が見える、と指摘しています。
そしてその意図とは、小泉政権が推し進めようとしたが、民主党の政権交代で頓挫してしまった、新自由主義社会への推進を再び推し進めようとしているのではないか、ということです。
それはちょっと深読みし過ぎではないかという気もしますが、実際はそうなのかもしれないとおもわせるところは多々あります。
もっとも、この本の対策も、具体性を欠いており、絵にかいた餅に終わってしまう可能性があります。
しかし、個人的には増田さんの対策よりは、この本の対策の方が進むべき道だと思います。

複数自治体への住民登録やバーチャル自治体は面白い考えです。複数自治体に登録できるのなら、私にとってふるさとの福岡市にぜひ登録したい、そう思うと、区民登録していた福岡市のカワイイ区がなくなっちゃうのはとっても残念な話です。カワイイ区という名称がどうかという話はありますが、あれはあれで時代の最先端を行っていたんだなぁと思います。

~ もくじ ~

序 章 地方消滅ショック
第1章 人口減少はなぜ起きるのか
第2章 地方消滅へと導くのは誰か
第3章 「選択と集中」論の危うさ
第4章 多様なものへの共生へ
第5章 「ふるさと回帰」は再生の切り札になるか
第6章 持続する制度を生み出す
終 章 新しい社会を選べるか
謝辞
引用文献

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

そもそも、「選択と集中」で無理して手に入れる豊かさとは、私たちがそれによって社会を壊してまで手に入れるほど価値があるものなのだろうか。それを選択する必要性はあるのか。(P104)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

私たちには、いま経済成長以外の目標がない。それどころか経済成長も、もはや一部の人たちが信仰しているだけで、私達は目的を失って漂流する大量の民に成り下がってしまったかのようだ。私たちの暮らしに明るい方向性をビシッと印象づける、そうした政策・制度が欲しい。(P278)

 
 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2788日)、、、
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book20150228
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~ 追記 (2015.03.02) ~
こんな取り組みも始まったんですね。

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「シェアビレッジ」と名付けられたこの活動は、多くの人が1つの家を支える仕組みを作り、全国の古民家をネットワークして村に変えていきながら、「100万人の村」をつくることを目指すというもの。

 

 

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