意志を持ちはじめるロボット

意志を持ちはじめるロボット (ベスト新書)
中谷一郎
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産業革命、情報革命に続いて次はロボット革命が来るに違いないという話。
産業革命により生まれた乗り物や電気製品がない生活は考えられないし、情報革命によりいまやインターネットのない生活は考えられません。
30年後にはロボットがいないと生活できない状況になっていることでしょう。

先日「ロボットの心」という本を読んだ時にこんなことを考えました。
「ローマ帝国の本で、ローマにあれだけの学問や文化が花開いたのは、日常の労働は全て奴隷が行っており、ローマ市民は哲学的なことを考えたりしていればよかったからだという話がありましたが、未来の世界は、日常の労働は全てロボットが行い、人間は哲学的なことを考えたりしていればよい、そんな世界になるのかもしれない。」
それがこの本で書かれている30年後の世界のようです。

しかしそこでのロボットは心を持っているわけでもなく意志を持っているわけでもありません。
ロボットが心を持つ、意志を持つとはどういうことなのか、技術的に考えると、情報処理の進歩により、心を持った振りをすることは割と簡単にできるけれど、意志を持って本当に理解して行動するとなると、あと300年はかかるのではないかという展開です。
先日読んだ本のように哲学の話になるのではなく技術的な話が中心なのでわかりやすいです。

また得られた情報の中で何を捨てるかの判断も難しそうです。人は目に映ったもののすべてを認識しているわけではないし、耳に聞こえるすべての音を認識しているわけではありません。人は見たいものだけ見て聞きたいものだけを聞いています。それは虫の音がなく夜道で、録音してみるとよくわかります。夜道を歩いた時にはあんなに大きく聞こえていた虫の音が、録音したものを聞くとほとんど聞こえず、遠くの車の音や人の歩く靴音の方が大きかったりします。何が必要な情報で何が不必要な情報化の判断は、コンピューターには難しそうです。
もちろん、情報を捨てなくても、処理能力がとてつもなく大きくなり、目に映るすべての情報、耳に聞こえるすべての情報などの中から瞬時に次に必要な行動を判断することはできるようになるかもしれません。
しかしその時、何を判断基準にするのでしょうか?
ロボットはいろいろと奥が深そうです。

300年後にはロボットが心を、意志を持った世界になっており、そこではもう人とロボットは一体化していると著者はいいます。それをヒューロと呼んで人類の進化系と考えます。
しかしそこに描かれた世界は、、、
人とロボットが一体化したというよりは、、、
ロボットしかしない、人はもう絶滅してしまったのではないか、そんな世界のように見えるのです!
ロボットの世界において、人類は絶滅危惧種として一部の自然公園内で保護されていたり動物園で飼われているのかもしれない、「○△動物園で絶滅寸前の人の交配に成功し、新しい赤ちゃんが生まれました」などとロボットの世界のニュースで流されているかもしれない・・・
((((;゚Д゚))
 
~ もくじ ~

はじめに
第1章 新種生物・ヒューロの誕生
第2章 ロボットには目的があり過ぎる
第3章 ロボット革命は今始まろうとしている
第4章 ロボットの舞台裏
第5章 ロボットは心を手に入れる
おわりに
参考文献

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(3376日)、、、
読んだ本   753冊 (1日平均0.22冊)
読んだページ 180286ページ(1日平均53ページ)

book20161008
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