脳が壊れた

脳が壊れた (新潮新書)
鈴木 大介
新潮社
売り上げランキング: 14,648

3年ほど前に読んだ本を再読。
脳梗塞で倒れ、身体的な後遺症は軽かったけれど、高次脳機能障害が残った著者による自身の心と体のルポ。
軽かったら軽かったなりに、廻りの人に病気の影響とは見てもらえず、でも障害の影響でそれを相手にうまく伝えられず、まともに話ができない人とか態度の悪い人と思われてしまう、という苦労があるということを身をもって体験したルポ。
脳に死傷があるとどうなるのかということが、とてもよくわかります。

~ もくじ ~

まえがき
第1章 どうやら脳がまずいことになったようだ
第2章 排便紳士と全裸の義母
第3章 リハビリは感動の嵐だった
第4章 リハビリ医療のポテンシャル
第5章 「小学生脳」の持ち主として暮らす
第6章 感情が暴走して止まらない
第7章 本当の地獄は退院後にあった
第8章 原因は僕自身だった
第9章 性格と身体を変えることにした
第10章 生きていくうえでの応援団を考える
鈴木妻から読者のみなさんへ
あとがき


~ なるほどな一文 ~

いるんだよね。大介みたいな、「典型的な元スプリンター系アスリートの固太りデブ。」へたに昔は身体が動けたタイプだから、いつまでも十代のつもり。現役のつもりでいるから、そうなっちゃうんだよ。お前がやってきたのは短時間高負荷でスキッとするための運動ばっかじゃん。いまの大介に必要なのは、低負荷でも一生毎日続けられる運動習慣だ。ほんと、元アスリートが一番不健康でタチが悪いんだよ。(P195)


~ マイ関連エントリー ~
脳が壊れた 2016.8.24


これで、、、2007年07月13日以降(4375日)、、、
読んだ本   974冊 (1日平均0.22冊)
読んだページ 235946ページ(1日平均53ページ)

atasinti – 読書メーター



著者が脳梗塞で倒れる前に取材対象にしていたのは、社会の底辺の若者たち。人とうまくコミュニケーションがとれなかったり態度が悪いとみられたりすることで誰からも相手にされず、反社会勢力の下でいいようにこき使われている少年たちや、性風俗で働くしか生きる術がない少女たち。そんな彼ら彼女らの行動や態度が、実は脳梗塞で倒れた後の著者の高次脳機能障害による症状とそっくりだという。つまり彼ら彼女らは性格や態度が悪いのではなく、脳の一部に障害があることで、そうした行動や態度しかとれなかったのではないか。そしてそんな彼ら彼女らの多くは幼いころに親の虐待を受けている。もしかしたら、幼いころに親の愛情を受けずに育つと、脳の機能の一部が発展しないまま育ってしまうのかもしれない。
著者は、優秀なリハビリの先生たちの時間と労力は、お金持ちの高齢者を相手に費やされるのではなく、こうした若者に対してそのパワーを発揮してもらうべきではないかと話します。
考えさせられる問題です。
しーゆー。

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