家入 一真
中央公論新社
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ペパポが福岡にあったころ、なぜ面白いサービスが次々と生まれていたのか、そして東京に移った後、なぜ面白くない会社になってしまったのか、家入さんはなぜ一時インターネットから離れていたのか、そしてなぜまたインターネットに戻ってきたのか、よくわかります。
インターネットは変わってしまいました。
当初は、現実の世界とはまったく別の世界、そこは老若男女、地位も名声も国籍も関係なく、自由でフラットな世界でした。
しかしWEB2.0の頃から現実の世界の力関係がインターネットの世界に傾れ込んできました。ブログで多くの読者を集めて発言力を持つのは結局、有名人だったのです。
そしてSNSの時代へと移り、インターネットは一つの世界ではなく各人それぞれのパラレルワールドとなりました。それぞれがフォローしている人の発言のみが流れてくる世界、さらにサービスのアルゴリズムがその人が興味を持っていると考える人の発言が多く流れてくる世界。あなたのインターネットとわたしのインターネットはまったく異なるものとなってしまったのです。それは顔見知りばかりの田舎の小さな村みたいなもの。そしてますます少なくなっていく偶然の出会い。
この本のタイトルは「さよならインターネット」だけど、インターネットと決別せよと言っているわけではありません。なぜならインターネットはもはや空気のようになくてはならない、そしてあって当たり前の存在となってしまったからです。
しかし、自分が興味があること、話があう人、自分と同じ意見の人とばかり接していても、新しいものは生まれてきません。たまには、変わってしまった今のインターネットから離れて「偶然」の出会いを楽しんでみるのがいいのではないか、と問いかけています。
そう、私が本屋で本を買うのもまさにそこなのです。アマゾンが紹介してくれない本との偶然の出会いがそこにあるから。
やっぱり家入さんは面白い。
~ もくじ ~
はじめに
前 章 インターネットが消える前に
第一章 やさしかったその世界
-ユーザーからプラットフォーマーになるまで
第二章 さよならインターネット
-その輪郭を喪失するまで
第三章 輪郭が失われた世界
-まだそこは信頼に足るものだったのか
第四章 インターネットは「社会」の何を変えたか
第五章 インターネットは「私たち」の何を変えたか
第六章 ぼくらはインターネットの輪郭を取り戻せるのだろうか
おわりに
~ なるほどな一文 ~ (リンクはinbookの該当セリフのページ)
つながる快感におぼれた結果、「寂しさに耐えられない」と、その孤独をあっけなく捨ててしまうのは、本当にもったいない。「寂しい」と感じる気持ちは、本来とてもいつくしむべきもの。これまで寂しさを栄養として、多くの優れた芸術作品が生まれたことは歴史上の事実なのですから。(P162)
~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはinbookの該当セリフのページ)
やはりインターネットを通じて知識を得ること自体は容易になったとしても、さらに新しいものを生み出したいと考えるのなら、そこからもう一歩を踏み出さない限り、世界は大きくはかわらないのです。(P222)
これで、、、2007年07月13日以降(3318日)、、、
読んだ本 737冊 (1日平均0.22冊)
読んだページ 176065ページ(1日平均53ページ)
atasintiさんの読書メーター
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しまった!
しっかりと罠に嵌ってしまった(笑