夢の原子力

夢の原子力: Atoms for Dream (ちくま新書 971)
吉見 俊哉
筑摩書房
売り上げランキング: 21847

脅威、恐怖の対象だった「原子力」がどのようにして「夢」になっていったのか。
その始まりは、核の軍拡を図るアメリカの「Atoms for Peace」政策であり、その裏に核の軍備拡大の目的が隠れていました。
国内ではアメリカの「Atoms for Peace」に金の匂いをかぎ取った正力が原子力の平和利用推進の旗を振ったのでした。
後半はなぜか漫画やアニメの話に。ゴジラからアトムへ、そしてAKIRAやナウシカへという流れにおいて、日本人の核に対する感じ方の変遷をみていますが、ちょっとこじつけっぽいかも。

なお、この本は、福島原発の事故を受けて、今後の日本は脱原発に向かうべきか原発を維持すべきかということに関してはなにも意見を述べていません。

ただただ、日本と世界の核についての歴史と事実を述べています。

~ もくじ ~

序 章 放射能の雨 アメリカの傘
第Ⅰ章 電力という夢―革命と資本のあいだ
第Ⅱ章 原爆から原子力博へ
第Ⅲ章 冷戦体制と「原子力の夢」
第Ⅳ章 ゴジラの戦後 アトムの未来
終 章 原子力という冷戦の夢
あとがき
参考文献

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

つまり、「戦後の豊かさ」は、何よりもまず電力によって支えられた。だからこそ多くの日本人は、二〇一一年の春から夏にかけて、節電で東京が暗くなったとき、一つの時代の終わりを実感したのである。(P41)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

これほどの人波が官邸や国会を取り囲むのは、おそらく一九六〇年以来、半世紀ぶりだろう。このデモ拡大の動きを日本のマスコミが十分に報道しないのは深刻な問題だが、それでもここまで動きが拡大しているのは、ネットの影響がこの国の政治意識に地殻変動を起こしつつあることの証左である。(P296)

 
 
 
これで、、、2007年07月13日以降(1875日)、、、
読んだ本   372冊 (1日平均0.2冊)
読んだページ 85305ページ (1日平均45ページ)

読書メーター – atasinti

2時間で学ぶ原発・電力の大問題

2時間で学ぶ原発・電力の大問題 (角川oneテーマ21)
久我 勝利
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 268868

日本の電力、特に原発が抱えている問題についてわかりやすく解説。
また各種自然エネルギーなどについてもわかりやすく解説。
わかりやすく=さわりのみ。
電力業界の問題の本質と思われる、利権関係の問題についての解説がなく、技術的な話のみであったのが、かなり残念。

二酸化酸素の増加が温暖化を促しているのではなく、温暖化の結果、二酸化酸素が増えているという研究結果もあるとのこと。(地球の温度を追いかけるように二酸化酸素の量が増減しているという研究結果)
そしてその原因として考えられているのは、海水が温まることで海水から排出される二酸化酸素が増えるためというもの。
原発は二酸化酸素を出さないクリーンなエネルギーという話がありますが、上記の話からすると、逆に海に大量の熱を放出している原発は二酸化酸素増加を促しているともいえますね。

なお、この人の立ち位置、原発維持賛成者なのか原発廃止論者なのかはよくわかりませんでした。

維持するにせよ、廃止するにせよ、原発は停止したからと言って決して安全ではない、完全に廃炉にするまでには長い年月と莫大な資金を要する、核燃料の処理という問題がある、ということは、頭に入れておかねばならないわけです。

~ もくじ ~ 

はじめに
第1章 日本の電力事情と電力会社のしくみ
第2章 日本の原子力発電の仕組みと危険性
第3章 次世代クリーンエネルギーの実現性
あとがき

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

地球上でもっとも二酸化炭素を出しているのは、実は海なのです。海水の中には大量の二酸化炭素が溶け込んでいます。(略)温度が上がると、海水に溶けていた二酸化炭素は、大気中に出てきます。(P128) 

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(1456日)、、、
読んだ本   267冊 (1日平均0.18冊)
読んだページ 60658ページ(1日平均41ページ)

読書メーター – atasinti