保育崩壊

ルポ 保育崩壊 (岩波新書)
小林 美希
岩波書店
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今、保育所が悲惨な状況に陥っているらしい。
規制緩和で民間の参入が可能になった結果、民間保育所が大量に生まれたけれど、利益追求のため人件費が削られ、保育士が疲弊し、子ども一人一人を手厚く見守るような保育はできていない。
過酷な労働で次々と保育士がやめていく。
それだけでなく、こんな子どもを子どもとしてちゃんと扱わないような保育所ではもうこれ以上働けないと言って保育士がやめていく。
しかし経営側にとっては、ベテランがやめて新人を雇うことで、人件費をさらに抑えることができる。
これって、まさにブラック企業そのものではないか、、、
((((;゚Д゚))

そんなところに、子どもを預けたくないけれど、保育所の空きが中々見つからない状況で、親側に保育所を選んでいる余裕はないという現実。

諸外国が子どもを守るために、保育に関する規制を強化する一方で、「待機児童」という問題のみがクローズアップされた結果、次々と規制緩和を推し進めている日本。
これは悪政以外の何者でもない。

林市長の元、待機児童ゼロを実現し、いまや全国のモデルともなっている横浜市ですが、実態は大量の民間保育所を認可したにすぎない。
そして利益追求第一の質の悪い保育所に我々が収めた貴重な税金が流れている。
この横浜の待機児童ゼロにはカウントの仕方にもカラクリがありそう・・・

もちろん、民間保育所にもすばらしい保育園があり、そのような保育園のこともこの本では紹介されています。
しかし、悲しいかな、そのような保育園に子どもを入れることはとーーーっても難しいし、また、外からは、ブラック保育園なのか、すばらしい保育園なのかは、中々見えにくい。
 
 
我が家の場合は下の娘が保育園を卒園したのが今から12年前。まだ横浜市が大きな待機児童問題を抱えていたろです。そのため、上の息子も下の娘も1年目は認可保育園には入れず、料金が倍ほどの無認可保育園に預けました。幸い2年目からは2人とも認可保育園に入れましたが、娘の場合は1年目は息子と違う保育園で、送り迎えに2か所回らなければならないという状況でした。
しかしながら、いずれの保育園も、こども一人一人と向き合ってくれたすばらしい保育園だったと思います。
そう言う意味では我が家は幸せでした。

娘は小学生の頃、将来は保育士になりたいと言っていました。
そういう言葉が出てくると言うことが、保育園時代が楽しかった現れだと思います。

あの頃の保育園の現場から考えると、想像もできない状況がこの本に描かれています。

そんな娘も、私の血を受け継いだのか、理系に進み、今は薬学部で薬剤師を目指しています。
この本を読んで、つくづくと、娘が保育士への道を歩まなくてよかった!
と思ってしまった親バカなおとうさんです(^^;
 
 
しかし、少子化対策のためにも、このままでいいはずがありません。
現場がいやになって辞めた潜在保育士さん方が戻ってこれるような、やりがいのある職場に戻さなくては、そして働く親が安心して預けられる保育所にしなければ、日本に明日はないのではないでしょうか。
保育の現場で、量だけでなく質も取り戻すような政策を唱える人を、選挙で選んでいこうと思うおとうさんなのでした。
 
~ もくじ ~

まえがき
第1章 保育の現場は、今
第2章 保育士が足りない?
第3章 経営は成り立つのか
第4章 共働き時代の保育
第5章 改めて保育の意味を考える
あとがき

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

保育所に預けている親のほとんどが働いている。つまり、勤労し納税し、国の財産である子どもを生み育てている。そこに財源を充てないで、この国の今を、未来を、支えられるのだろうか。(P viii)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

母の状態は子に返る。母に優しい保育園を作らないと、子どもにも優しくなれなくなるのではないか。母を第一に考えて対応し、ケアできる保育園であれば、子どもも幸せになる。ここをきちんと見ることができれば、保育士も専門職として面白みがでるはずだ。(P185)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2858日)、、、
読んだ本   627冊 (1日平均0.22冊)
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book20150509
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