ポピュリズムとは何か

ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書)
水島 治郎
中央公論新社
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ラテンアメリカ、ヨーロッパ、そしてUSAにおけるポピュリズム政党の活動の歴史を見ていくことで、ポピュリズムとは何かを探ります。

この本では橋下徹による大阪維新の会を日本におけるポピュリズム政党の例として挙げていますが、ちょっと違う気がします。
この本で何度も書かれているように、ポピュリズムは、現在のグローバル化、新自由主義によって一部のグローバル企業や大富豪にのみ富が集り、格差が広がっていく中で、グローバル化、新自由主義を推進する既存の政党と真っ向から対決することを虐げられている人々に訴えて支持を受けているものです。しかし橋下徹はその新自由主義の推進者です。
日本ではなぜ、格差を広げる政策の推進者をその政策によって虐げられている人々が支持するようなおかしな現象が起きているのでしょうか?
それは小泉元総理の劇場型政治も同じで、対立者を作ることであたかも改革者であるように錯覚させているからであり、テレビなどのマスコミもそれに一役買って出ていることで、支持している人々はすっかり騙されているのではないでしょうか。日本にジャーナリズムが存在していないのも一因で、マスコミがいっしょに踊らされているのでしょう。

~ もくじ ~

はじめに
第1章 ポピュリズムとは何か
第2章 解放の論理 -南北アメリカにおける誕生と発展
第3章 抑圧の論理 -ヨーロッパ極右政党の変貌
第4章 リベラルゆえの「反イスラム」 -環境・福祉先進国の葛藤
第5章 国民投票のパラドクス -スイスは「理想の国」か
第6章 イギリスのEU離脱 -「置き去りにされた」人々の逆転劇
第7章 グローバル化するポピュリズム
あとがき
参考文献

~ なるほどな一文 ~

いまや「政党や団体に支援されて」選挙に勝つのではなく、「既成政党や団体を批判することで」、政党や団体に属さない無党派層の幅広い支援を取りつけることが、選挙戦略として十分に機能する時代となったのである。(P66)

~ もう一つなるほどな一文 ~

デモクラシーという品のよいパーティに出現した、ポピュリズムという泥酔客。パーティ客の多くは、この泥酔客を歓迎しないだろう。ましてや手を取って、ディナーへと導こうとはしないだろう。しかしポピュリズムの出現を通じて、現代のデモクラシーというパーティは、その抱える本質的な矛盾をあらわにしたとはいえないだろうか。そして困ったような表情を浮かべつつも、内心では泥酔客の重大な指摘に密かにうなずいている客は、実はおおいのではないか。(P231)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(3509日)、、、
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atasintiさんの読書メーター
 
 
アメリカではトランプ大統領が登場しました。このトランプさんもポピュリズムで大統領になりました。
トランプ大統領登場で唯一よかったのは、TPPが暗礁に乗り上げたことではないでしょうか。
しかし、TPPが実はアメリカが他の国から利益をチューチューと吸い上げるためのシステムだということにトランプさんが気がついたとき、逆に一気に進み、難題を次々と投げかけてくるに違いなく、今後も安心はできません。
しーゆー。
 

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