問題は英国ではない、EUなのだ

問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書)
エマニュエル トッド
文藝春秋
売り上げランキング: 139

フランスでの「私はシャルり」デモ、アメリカでトランプが大統領候補に、そしてイギリスのEU離脱、現在世界で起きていることを、地域毎の家族形態をもとに俯瞰して見ると、見えないものが見えてくるというお話。
日本についての考察も非常によくわかっていらっしゃるという感じです。
思わず納得してしまうのは、著者が親日だからかも。
もちろん、著者は「親英派でドイツが嫌い」なちょっとかわったフランス人なので、偏った内容であることも意識して読む必要があることは分かっています。
 
~ もくじ ~

日本の読者へ ― 新たな歴史的転換をどう見るか?
1 なぜ英国はEU離脱を選んだのか?
2 「グローバリゼーション・ファティーグ」と英国の「目覚め」
3 トッドの歴史の方法 - 「予言」はいかにして可能なのか?
4 人口学から見た二〇三〇年の世界 - 安定化する米・露と不安定化する欧・中
5 中国の未来を「予言」する - 幻想の大国を恐れるな
6 パリ同時多発テロについて - 世界の敵はイスラム恐怖症だ
7 宗教的危機とヨーロッパの近代史 - 自己解説『シャルリとは誰か?』
編集後記

~ なるほどな一文 ~ (リンクはinbookの該当セリフのページ)

「家族」というものをやたらと称揚し、すべてを家族に負担させようとすると、かえって非婚化や少子化が進み、結果として「家族」を消滅させてしまうのです。(P134)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはinbookの該当セリフのページ)

「泣くというのは悪いことではない。泣くことによって緊張を和らげ、物事を水に流し、リラックスできるからだ。むしろ泣かないで我慢すると、心が硬直し、悲劇的になる」(P156)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(3381日)、、、
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book20161013
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意志を持ちはじめるロボット

意志を持ちはじめるロボット (ベスト新書)
中谷一郎
ベストセラーズ
売り上げランキング: 83,961

産業革命、情報革命に続いて次はロボット革命が来るに違いないという話。
産業革命により生まれた乗り物や電気製品がない生活は考えられないし、情報革命によりいまやインターネットのない生活は考えられません。
30年後にはロボットがいないと生活できない状況になっていることでしょう。

先日「ロボットの心」という本を読んだ時にこんなことを考えました。
「ローマ帝国の本で、ローマにあれだけの学問や文化が花開いたのは、日常の労働は全て奴隷が行っており、ローマ市民は哲学的なことを考えたりしていればよかったからだという話がありましたが、未来の世界は、日常の労働は全てロボットが行い、人間は哲学的なことを考えたりしていればよい、そんな世界になるのかもしれない。」
それがこの本で書かれている30年後の世界のようです。

しかしそこでのロボットは心を持っているわけでもなく意志を持っているわけでもありません。
ロボットが心を持つ、意志を持つとはどういうことなのか、技術的に考えると、情報処理の進歩により、心を持った振りをすることは割と簡単にできるけれど、意志を持って本当に理解して行動するとなると、あと300年はかかるのではないかという展開です。
先日読んだ本のように哲学の話になるのではなく技術的な話が中心なのでわかりやすいです。

また得られた情報の中で何を捨てるかの判断も難しそうです。人は目に映ったもののすべてを認識しているわけではないし、耳に聞こえるすべての音を認識しているわけではありません。人は見たいものだけ見て聞きたいものだけを聞いています。それは虫の音がなく夜道で、録音してみるとよくわかります。夜道を歩いた時にはあんなに大きく聞こえていた虫の音が、録音したものを聞くとほとんど聞こえず、遠くの車の音や人の歩く靴音の方が大きかったりします。何が必要な情報で何が不必要な情報化の判断は、コンピューターには難しそうです。
もちろん、情報を捨てなくても、処理能力がとてつもなく大きくなり、目に映るすべての情報、耳に聞こえるすべての情報などの中から瞬時に次に必要な行動を判断することはできるようになるかもしれません。
しかしその時、何を判断基準にするのでしょうか?
ロボットはいろいろと奥が深そうです。

300年後にはロボットが心を、意志を持った世界になっており、そこではもう人とロボットは一体化していると著者はいいます。それをヒューロと呼んで人類の進化系と考えます。
しかしそこに描かれた世界は、、、
人とロボットが一体化したというよりは、、、
ロボットしかしない、人はもう絶滅してしまったのではないか、そんな世界のように見えるのです!
ロボットの世界において、人類は絶滅危惧種として一部の自然公園内で保護されていたり動物園で飼われているのかもしれない、「○△動物園で絶滅寸前の人の交配に成功し、新しい赤ちゃんが生まれました」などとロボットの世界のニュースで流されているかもしれない・・・
((((;゚Д゚))
 
~ もくじ ~

はじめに
第1章 新種生物・ヒューロの誕生
第2章 ロボットには目的があり過ぎる
第3章 ロボット革命は今始まろうとしている
第4章 ロボットの舞台裏
第5章 ロボットは心を手に入れる
おわりに
参考文献

 
 
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book20161008
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ブッダと法然

ブッダと法然 (新潮新書)
平岡聡
新潮社
売り上げランキング: 12,159

ブッダと法然は生きた時代背景も環境も全く異なるけれど、その一生を見ると似ているところがいくつもあるよ、ということでブッダと法然の類似点をあげて、それぞれの生き方や教えを振り返ります。
でも、この本のように多少強引に同じだとか似ていると断定すれば、おそらく法然に限らず、あらゆる仏教の宗派の宗祖について、同じようなことを書くことができそうです。
そんな中でなぜ法然なのか、そして時折弟子の親鸞の方が高い評価なのはおかしいと書かれているのはなぜなのか、「おわりに」を読んでわかりました。浄土宗のお寺に生まれた方だったんですね。
 
~ もくじ ~

はじめに
第一章 宗教に運命づけられた人間
第二章 自利から利他へ
第三章 対照的な晩年
第四章 魅力の根源を探る
第五章 生ききること、死にきること
付録 それぞれの生涯・思想・歴史
おわりに
主要参考文献

 
 
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book20161007
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反オカルト論

反オカルト論 (光文社新書)
高橋 昌一郎
光文社 (2016-09-15)
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霊媒師ミナ・クリントンのウソを奇術師ハリー・フーディーニが暴いた話は面白かったです。
ただ、途中からオカルトと科学の不正がごっちゃまぜになっちゃっていて、ちょっと違和感を覚えました。

小保方晴子さんが行った数々の不正は確かに許されるものではないと思いますし、科学者の一人として著者が憤慨するのももっともなことだと思います。
しかし不正を行った小保方晴子さん本人や理化学研究所への罵倒だけでなく、STAP細胞が存在するはずがないと断定し、オカルトだなんだと罵倒する様は、まるで、自分たちの理論に合わないもの、自分たちが理解できないもの、地動説やそれを唱えるコペルニクスを罵倒する天動説の学者のみなさんの姿を見ているようでした。
 
~ もくじ ~

はじめに―「学」と「欺瞞」の関係
第一章 なぜ騙されるのか
第二章 なぜ妄信するのか
第三章 なぜ不正を行うのか
第四章 なぜ自己欺瞞に陥るのか
第五章 なぜ嘘をつくのか
第六章 なぜ因習に拘るのか
第七章 なぜ運に任せるのか
第八章 なぜ迷信に縛られるのか
おわりに
参考文献

 
 
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book20161003
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「火附盗賊改」の正体

「火附盗賊改」の正体 (集英社新書)
丹野 顯
集英社 (2016-09-16)
売り上げランキング: 8,363

火附盗賊改は鬼平犯科帳の長谷川平蔵だけじゃない。
そんな火附盗賊改の最初から最後まで、どんな人がいてどんな働きを行ったのか、順を追って見ていきます。
なぜ長谷川平蔵だけがドラマでとりあげられることになったのかも、よくわかります。
またそんな長谷川平蔵がなぜ他の火附盗賊改のようにその後出世できなかったのかも。

~ もくじ ~

はじめに
第一章 戦国の騒乱から「徳川の平和(パクス・トクガワーナ)」へ
第二章 最初の火附盗賊改
第三章 将軍吉宗の江戸
第四章 日本左衛門vs.徳山五兵衛
第五章 二人の長谷川平蔵
第六章 火附盗賊改の行く末
第七章 最後の火附盗賊改
おわりに
江戸の治安・警察年表
主要参考文献

 
 
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スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」

スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」 岡田斗司夫の空想政治教室 (SB新書)
岡田 斗司夫
SBクリエイティブ
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政治はつまらないし興味がわかない、そう思っていても、スター・ウォーズやガンダムとからめて見ると、これまで見えていなかったものが見えてくる。またスター・ウォーズやガンダムについても、なるほどそういう解釈もできるのだなとこれまでとは違った見方ができるようになる。そうは言っても、現実の日本の政治はやっぱりつまらないのだ。そのわけは・・・「おわりに」に書いてあった(笑

~ もくじ ~

はじめに
第1章 政治寓話としての『スター・ウォーズ』
第2章 そもそも政治とは何だろう?
第3章 スーパーヒーロー像から見えるアメリカという国家
第4章 英国のEU離脱をガンダムに例えると?
第5章 ハインラインに「リバタリアニズム」を学ぶ
おわりに

~ なるほどな一文 ~ (リンクはinbookの該当セリフのページ)

だけど、何が正義か何が悪か、決めつけてしまったら、もうそういう風にしか見えなくなってしまいます。(P75)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはinbookの該当セリフのページ)

SFの魅力は、奇想天外なテクノロジーや宇宙人だけではありません。「××が△△だったら、この世界はどうなるんだろう?」という思考実験こそが、SFの醍醐味です。(P164)

 
 
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book21060924
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ロボットの心

ロボットの心-7つの哲学物語 (講談社現代新書)
柴田 正良
講談社
売り上げランキング: 145,958

ロボットに心を持たせることはできるのか?
各章のはじめに記載のSF的ショートショートがその章で扱う問題を簡単に説明していて面白い。
それぞれの課題について、情報テクノロジーや精神医療科学やいろいろな科学技術で分析を行い問題の解決を目指すんだけど、「心」というものが入ってくるとそこに「哲学」が登場してきて、とたんにわけがわからなくなってしまう。
現在人工知能と呼ばれているものはまだまだ「心」には程遠いものであること、「感情」というものの働きが実は人間が「理論的思考と行動」を行う上で重要な役割をしていたんだということはわかりました。
そして、心を持ったロボットに善悪を教えるのが難しそうだということ。

それにしても、、、
哲学抜きでは議論できないものなのだろうか・・・
 
個人的にはロボットに心を持たせる必要があるのか、甚だ疑問だ。

今後、多くの労働がロボットにとってかわられるという話があります。
先日読んだローマ帝国の本で、ローマにあれだけの学問や文化が花開いたのは、日常の労働は全て奴隷が行っており、ローマ市民は哲学的なことを考えたりしていればよかったからだという話がありましたが、未来の世界は、日常の労働は全てロボットが行い、人間は哲学的なことを考えたりしていればよい、そんな世界になるのかもしれない。

~ もくじ ~

第0章 プロローグ―サラの話
第1章 チューリング・テストPart1-ゆるやかな行動主義
第2章 チューリング・テストPart2-意味なき会話
第3章 中国語の部屋
第4章 フレーム問題
第5章 コネクショニズムって何?
第6章 感情とクオリア
第7章 エピローグ―クオリアと善悪
あとがき

 
 
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剣と紅

剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎 (文春文庫)
高殿 円
文藝春秋 (2015-05-08)
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2017年の大河ドラマの主人公、井伊直虎の生涯を題材にした歴史小説。
ドロドロしていて中々面白い!
これは、来年の大河ドラマでどのように描かれるのか楽しみだ。

~ もくじ ~

序章
一 伊井谷の小法師
二 生涯、飾らぬ
三 伊那の青葉
四 金の日陽、銀の月
五 まさに騎虎せん
六 紅いくさ
最終章 剣と紅
開設 末國善己

 
 
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ローマはなぜ滅んだか

ローマはなぜ滅んだか (講談社現代新書)
弓削 達
講談社
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古代ローマ帝国の栄枯盛衰。
古代ローマ帝国がどのような構造でどのような経済でどのような人々がいてどのような国であったのかがよくわかります。
でも「なぜ滅んだのか」というタイトルには結局答えていないような・・・
 
~ もくじ ~

序 「ローマ」はなぜ滅んだか」となぜ問うのか
1 ローマ帝国の繁栄とは何か
2 道路網の整備
3 ローマ帝国の経済構造
4 経済大国ローマの実体
5 爛熟した文明の経済的基礎
6 悪徳・不正・浪費・奢侈・美食
7 性解放・女性解放・知性と教養と文化
8 ローマ帝国の衰退とは何か
9 第三世界(「周辺」)への評価の岐れ道
10 ローマはなぜ滅んだか
あとがき
参考文献
略年表
索引

 
 
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感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか

感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか (集英社新書)
堀内 進之介
集英社 (2016-07-15)
売り上げランキング: 6,664

小泉劇場もネットの炎上も理性による判断はそこにはなく感情的に動員されてしまっています。
なぜそのようなことが起きるのか、ということをあれこれ考える本なのですが、はじめにとあとがきだけでよかった気が、、、
その間はあれやこれや言葉のお遊びを聞かされ続ける退屈さが・・・
ん?
そんな風に感じてしまうということは私も理性で考えることを忘れてしまっているためなのか???

えっ?
この本を手にした時点でおまえはもう釣られていたのだって?
  
~ もくじ ~

はじめに
第一章 自分で決められる? 感情で釣られる人々
第二章 マーケティングの中の「自分らしさ」
第三章 感じる政治
第四章 私たちはどういう社会を生きているのか
第五章 自分自身を知る(釣る)ために
あとがき
読書案内 参考文献にかえて

~ なるほどな一文 ~ (リンクはinbookの該当セリフのページ)

よくあることだが、「意識の高い」人は「できる」人とはかぎらない。むしろ「意識が高い」ことをアピールしようとする人にかぎって、それだけで精一杯で、「意識だけが高く」中身がない、残念な状態に置かれていることがある。(P34)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはinbookの該当セリフのページ)

重大な社会問題は山積している。にもかかわらず、真剣に省みられるべき多くの問題が、いつの間にか局在化し、矮小化されて、視野と記憶の外へと追いやられている。ここの社会問題も深刻だが、物事の優先順位をつけることなく、個別の問題に一喜一憂しては、それを端から忘れて行く、このような現状こそ、もっとも深刻な社会問題なのではないか。(P217)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(3345日)、、、
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book20160907
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