江口寿史の正直日記

江口寿史の正直日記 (河出文庫)
江口 寿史
河出書房新社
売り上げランキング: 118

今は漫画は描いておらず、イラストレーターとして活動されている江口寿史さんがホームページに公開していた1999年~2002年の日記。
たんたんとその日の仕事とか飲みに行ったこととかを書かれていますが、漫画を描き続けることの苦しみがにじみ出ています。
そういえば、週刊アクションが面白い漫画が揃った青年漫画誌から、おっぱいがでっかい女の子がオンパレードのつまらないエロ漫画雑誌に変わってしまったのが、ちょうどこの日記の頃だったんですね。
いろいろなつかしい。

個人的には、江口寿史さんが描く女性のイラストは、どれもこれも、世界一の女性のイラストだと思います。
江口寿史さんよりも素敵な女性のイラストはないと思います。

漫画はというと、個人的には一番面白かったのは、「すすめ!パイレーツ」だったと思います。
ちまたの人気では「ストップ!! ひばりくん!」が一番ですが、
パイレーツほど面白い時事漫画は見たことがありません。
えっ?時事漫画ではなく野球漫画でギャク漫画だって?
いえいえ、あの絶妙な時事の扱い方はすばらしく面白かったです!
ちょうど、クラウンライターライオンズが西武に買収されて、福岡から出ていってしまった頃だったので、西武のオーナーのことなどをおもしろおかしく取り上げてくれたパイレーツが、よけいに面白く感じたということもあります。
江口寿史さんの漫画はパイレーツですでにピークを迎えてしまったのではないでしょうか。

ご本人は文庫版あとがきにて、自分はあくまでも漫画家として生きていくのであり、イラストレーターとして生きているつもりはないと書かれておりますが、はたして江口寿史さんが今後、連載漫画を描く日が訪れることはあるのでしょうか???

パイレーツを超える、江口寿史さんの面白い漫画を読む日が来るのを、首をなが~くして待ってます。
 
~ もくじ ~

正直日記 1999年
     2000年
     2001年
     2002年
金沢日記
金沢日記2
単行本あとがき
文庫版あとがき
解説 江口寿史と私 樋口毅宏

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

負けた。現実に負けた。完敗。
今や現実の方が、その面白さ悲惨さデタラメぶりにおいて、創作よりも完全に上いってる。若い奴、漫画読まないはずだ。(P236)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

楽器が弾ける人がホント羨ましい。絶対的にカッコイイもんな。禿げてても。チビでもデブでもホモでもな。ク~ッ。クヤジイ。(P264)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2894日)、、、
読んだ本   634冊 (1日平均0.22冊)
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book20150614
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江口寿史原画展「TONE」 at 2012.05.01
 

量子コンピューターが本当にすごい

量子コンピューターが本当にすごい (PHP新書)
竹内 薫
PHP研究所
売り上げランキング: 3,679

今のコンピューターとは構造も方式も根本的に異なる量子コンピューターについて、簡単に解説した本です。
か~な~り~、回り道をします。
まずは指折り数える「計算」とは何かから始まって、計算尺やそろばんなどの計算のための機器へ、そして現在のノイマン型コンピューターへと話は続き、そこでちょっと現在の暗号方式についての話に寄り道をしたあとで、ようやく、量子コンピューターの登場です。
わかりやすい?
いえ、結局のところ、ちんぷんかんぷんです(^^;
ただ、量子コンピューターは、今のスーパーコンピューターでは何万年もかかるような計算や検索を、ものの数分で行なうことができてしまうこと、そんな量子コンピューターがすでに実現段階に入っていること、しかし、今のコンピューターにとってかわるわけではなく、それぞれ得手不得手があり、組み合わせて使うことで効果を発揮するってことは、よくわかりました。

話が硬くならないようにと、時折関西弁まじりになりますが、場合によってはそれは逆効果で、かえってわかりにくくしているような。。。

ところで、コンピューターの歴史の中で、電子計算機が登場する百年も前に、すでに現在のコンピューターの理論は構築されており、蒸気で動く膨大な大きさの計算機もあったということですが、蒸気で動くコンピューターをみてみたいなぁ。。。

30年ほどまえの大型コンピューターの性能を、すでにスマホの中のCPUは超えちゃっているわけですが、量子コンピューターも、あと30年もしたら、手のひらの上で動く時代がくるのでしょうか?
もっとも、量子コンピューターとノイマン型コンピューターの得手不得手を考えると、手のひらの上に量子コンピューターがある必要はなく、ネットに繋がった先のサーバーに量子コンピューターが繋がっていて、現在のスーパーコンピューターでは何万年も時間がかかってしまう部分のみ量子コンピューターに計算させてその結果をうけとれば、十分機能を発揮することができるわけですが、それは現在考えられる使い方の場合であり、手のひらに量子コンピューターが乗っかることで、現在では想像もできない使い方が、そしてその結果、現在では想像もできない生活が待っているのかもしれません。
なんだかワクワクします。
でも、そこまで長生きできないかなぁ・・・
 
~ もくじ ~

プロローグ
第1章 そもそも、「計算する」ってどういうこと?
第2章 コンピューターとはなんだ?
第3章 コンピューターは、中で何をやっているのか?
第4章 量子ってなんだろう?
第5章 暗号 - その華麗なる歴史
第6章 量子コンピューターって、なんだ?
第7章 D-Waveの衝撃!
参考文献

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

現在の通信に暗号技術がつかえないと、世界は、政治的にも経済的にもかなりのダメージを受けることになってしまうことは、想像に難くない。(P14)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

もし、この先、量子チューリング・マシンが完成すれば、それこそ圧倒的な計算力を背景に、膨大な外部記憶を一瞬で検索することが当たり前になれば、社会は飛躍的に変わるだろう。(P299)

 
 

これで、、、2007年07月13日以降(2889日)、、、
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book20150609
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ナチスの財宝

ナチスの財宝 (講談社現代新書)
篠田 航一
講談社
売り上げランキング: 12,931

徳川の埋蔵金とか秀吉の埋蔵金のようなあやしい話ではなく、ナチスの財宝は確かに存在し、一部は見つかっているのです。しかしながら、いまだ不明の財宝の多くは、ナチス残党の逃亡資金として使われている可能性も大きいのです。
そんなナチスの財宝を追い求めている人たちや関係者のルポ、ワクワクします。
ただし、最後の方はヒトラーの一生を追うような話になっていますが、これはこれで興味深い。

~ もくじ ~

プロローグ
第一章 「琥珀の間」を追え
第二章 消えた「コッホ・コレクション」
第三章 ナチス残党と「闇の組織」
第四章 ロンメル将軍の秘宝
第五章 ヒトラー、美術館建設の野望
エピローグ
参考文献

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2882日)、、、
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book20150602
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荒木飛呂彦の漫画術

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)
荒木 飛呂彦
集英社 (2015-04-17)
売り上げランキング: 37

「ジョジョの奇妙な冒険」の作者、荒木飛呂彦が「王道漫画の描き方」を解説!
と言っても、この本を読んだら誰でもメガヒットを生むような漫画を描けるようになるわけではありません。
前提として、絵を描く才能、キャラクターを考案できる才能、世界観を構築できる才能、ストーリーを考える才能が必要。
そんな人向けのハウツー本。
そんな才能のある人でも、楽な稼業ではないことがよくわかります。
 
~ もくじ ~

はじめに
第一章 導入の描き方
第二章 押さえておきたい漫画の「基本四大構造」
第三章 キャラクターの作り方
第四章 ストーリーの作り方
第五章 絵がすべてを表現する
第六章 漫画の「世界観」とは何か
第七章 すべての要素は「テーマ」につながる
実践編その1 漫画ができるまで - アイディア、ネーム、コマ割りの方法
実践編その2 短編の描き方 - 「富豪村」(『岸辺露伴は動かない』)を例に
おわりに

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

漫画の描き手が目指すものが「どういうキャラクターを描くか」だとしたら、読者側の最大の動機はまず「その漫画家が描く世界にひたりたい」です。その次に来るのが「あのキャラクターに出会いたい」で、「あのストーリー、おもしろいな」というのはその後になるのではないでしょうか。(P196)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

それは、女性の体をどう描くか、という「絵」の描き方にもつながっていきます。主線の太さ・細さということもありますが、「絵」にはただ線で形を成しているものではなく、無意識のうちに、作者の考えが反映されているのです。(P220)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2879日)、、、
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book20150530
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<面白さ>の研究

(面白さ)の研究  世界観エンタメはなぜブームを生むのか (角川新書)
都留 泰作
KADOKAWA/角川書店 (2015-05-10)
売り上げランキング: 12,467

文化人類学者で漫画家の著者が「世界観エンタメ」というものを定義し、その「世界的エンタメ」がなぜ面白いのか、なぜ人々に受けるのかを、文化人類学的見地から解き明かそうとしています。
まずはじめの方に書かれていた「売れた作品」=「面白い作品」という考え方にはちょっと首をかしげたくなります。
ただ「二度三度と見てしまう作品」=「面白い作品」というのは当っているかもしれません。
もっともこの本の中で面白い作品の例としてあげている作品の中にも、マイナーな作品がいくつかありましたので、作者自身も実は「売れた作品」=「面白い作品」とは思っていなかったのかもしれません。

独自の世界観を作りだしており、読む人見る人をその世界の中に引きづり込んでしまうような作品は確かに面白いです。

さて、この本の内容ですが、共感を受ける部分も多々ありますが、全体的にこの本は、この本の表現を借りれば「面白く」ないんです。
「面白さ」というものを論理的に表現しようとすればするほど、面白くなくなっていくのです。
ただ、作者が自分の理論に酔っていることだけは非常によく伝わってきます。
この本の中にもどういう作品が面白くないのかを書いてありましたが、まさにこの本がその例にぴったりの本です。

結局、自分が好きな作品について、熱く語っているに過ぎない気がするのですが、そこに大量の論理を振りかけたために、その「熱さ」も醒めて伝わってきちゃうのです。

エヴァンゲリオンの作者が自分の作品作りのことを「オナニー・ショー」だと言ったということが、この本にも書いてあります。自分自身をさらけ出したショーだということでしょう。
それに対して、この本は「オナニー」そのものと言えます。自己満足に終わっている世界です。

もっともこの本はエンタメ作品ではないので、作者的には面白くなくてもいいものなのかもしれません。
私自身は、この作者のマンガを読んだことはないので、はたして、どんな面白い世界観エンタメなのか、この本に書かれていたオナニーがどのような形でショー化されているのか、ちょっと気になるところです。

えっ?
面白くないものをただ面白くないと書いているだけのおまえのブログはもっと面白くないって?
おっしゃる通りでございます(^^;

~ もくじ ~

はじめに
序 章 エンタメの研究 - 文化人類学から考える
第一章 空間感覚の研究 - 『スター・ウォーズ』『となりのととろ』『精霊の守り人』
第二章 時空感覚と社会空間の研究 - 『千と千尋の神隠し』『ワンピース』『進撃の巨人』
第三章 人間の世界の研究 - 『踊る大捜査線』『半沢直樹』、そしてゾンビ
第四章 ”居住空間の外”の研究 - 「Jホラー」と『寄生獣』
終 章 私小説的な<世界観エンタメ>の研究 - 『エヴァンゲリオン』と『失踪日記』
おわりに

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

いわゆる大量消費と情報化の果てに、インテリと区別されるべき、「バカで単純な大衆」というものはいなくなってしまった(それとともにインテリも・・・)。残された廃墟に現れたのは、「不特定多数」という新しい唯一神である。(P17)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

ちょっと仙人の悟りのようだが、秋葉原に集うオタクたちの姿には、基本的には仙人の姿と重なりあうところが、ないでもない。仙人は、自らを「俗世」から切り離し、自らの環境を極度に単純化することによって全能感を獲得する。同様に、会社のような広い空間では縮こまっているサラリーマンが、狭い自分の部屋でなら自由になり全能感を獲得できる。(P137)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2874日)、、、
読んだ本   630冊 (1日平均0.22冊)
読んだページ 148885ページ(1日平均51ページ)

book20150525
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「過剰反応」社会の悪夢

「過剰反応」社会の悪夢 (角川新書)
榎本 博明
KADOKAWA/角川書店 (2015-05-10)
売り上げランキング: 29,852

これですね、この本でも取り上げられていた、リアルすぎると批判を受けて打ちきりになったと言うCM。

リアルな就活 批判受け東京ガス放映打ち切り – YouTube

 
ほとんどテレビを見ていないおとうさんは初めてみましたが、
いいCMと思うけどなぁ、、、
 
しかし、こうして打ち切りになったCMも、後から簡単に見ることができるというのは、便利になったというべきか、逆に不便な世の中になったというべきか、、、
 
さて、この本の内容ですが・・・
自分のことしか考えず、他人を攻撃する人が増えた背景には、教育現場で生徒をお客様扱いせざる終えない状況に陥ってしまっていることも一因(つまりそういう生き方を教育されてきた)、企業や銀行などが過剰対応することも一因(いつも自分が一番という扱いを受けてきた)、マスメディアが過剰反応を煽るような放送を行なうことも一因(オレもこれでいいんだ)、インターネットによって誰でも発信できることになり、自分は影響力のある人間だと錯覚する環境ができたことも一因(そう、オレが正しい)、そして「和」を持って尊しとする日本人の特性も一因(ただ相手にしか求めないけれど)、、、、、

こんな社会を改善するにはどうすればいいんだろう?
安易に答えを求めるのではなく、みんなで考えよう・・・

~ もくじ ~

はじめに
第1章 過剰反応社会を象徴する現象
第2章 身近にもいる過剰反応な人々
第3章 過剰反応の心理構造
第4章 過剰反応を生み出す社会
第5章 過剰反応を防ぐために
おわりに

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

人は自分の心の世界を外部に投影する。自分の中に自己否定の気持ちが強いと、主人公と同じく落ち続けている自分を否定されたように感じる。自分の中に強いモチベーションがあると、辛いのは自分だけじゃないんだ、自分も頑張らなくちゃと思えてくる。(P23)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

個性の尊重とか価値観の多様化と言われるわりには、過剰反応による一極集中やネット炎上に象徴されるような一面的なものの見方が横行している。みんながつながることによって、かえって個性が失われつつある。(P197)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2867日)、、、
読んだ本   629冊 (1日平均0.22冊)
読んだページ 148581ページ(1日平均51ページ)

book20150518
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本とは関係ないけど、東京ガスのCMって好きです。
 
1分間の心温まるCM集 東京ガス 全4Ver. – YouTube

▶ 1分30秒の心温まるCM集 東京ガス 全3Ver. – YouTube

 
あっ、ここにも例のCM入ってたのか。
 

日本の大課題 子どもの貧困

児童養護施設の実態、児童養護施設で育つことになった子どもたちはなぜそこにくることになってしまったのか、その原因はどこにあったのか、そしてそんな彼ら彼女らが自立していくために必要なのは何なのか、ということを解き明かしていきます。
未来を担う子どもたちの明日が明るくなるような社会を作らなければ、日本の未来はない!
行政はお金の使い道を間違ってはいけない。

~ もくじ ~

はじめに 池上彰
第1部 児童養護施設からの問い 対談=池上彰×高橋利一
 第1章 社会的養護とは何か-家族リスクと子どもの貧困
 第2章 忘れられた子どもたち-養護の現場から
 第3章 自立の困難-子どもたちの未来
 対談を終えて 池上彰
 あきらめない、みすてない 高橋利一
第二部 家族、虐待、自立
 第4章 子どもの現実 池上和子
 第5章 多重の喪失と分離 池上和子
 第6章 教育ネグレクト 池上和子
 第7章 親の問題とどう取り組むか 池上和子
 第8章 児童養護施設からの自立と自立支援 高橋利之
おわりに 池上彰
主な主要文献

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当のセリフ)

でも今は、社会全体が子どものことを怒らなくなってきている。一見、物わかりがいいようだが、本当にその子のことを考えて、親代わりになって戒めてくれるような人・場所がなくなってきている。ジェスチャーでもいいから、心を添えて怒ってもらえばその子のためになる。(P124)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当のセリフ)

貧困に苦しむ子どもたちは、自力では大学には進めません。それでは就職も難しくなり、「良き納税者」への道は遠くなります。その子が、やがて親になったとき、貧しさゆえに、その子どもたちも大学へ行けず、「良き納税者」になるのは至難です。こうした負のスパイラルを断ち切ることができるのは、教育の力なのです。(P145)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2864日)、、、
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book20150515
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保育崩壊

ルポ 保育崩壊 (岩波新書)
小林 美希
岩波書店
売り上げランキング: 1,230

今、保育所が悲惨な状況に陥っているらしい。
規制緩和で民間の参入が可能になった結果、民間保育所が大量に生まれたけれど、利益追求のため人件費が削られ、保育士が疲弊し、子ども一人一人を手厚く見守るような保育はできていない。
過酷な労働で次々と保育士がやめていく。
それだけでなく、こんな子どもを子どもとしてちゃんと扱わないような保育所ではもうこれ以上働けないと言って保育士がやめていく。
しかし経営側にとっては、ベテランがやめて新人を雇うことで、人件費をさらに抑えることができる。
これって、まさにブラック企業そのものではないか、、、
((((;゚Д゚))

そんなところに、子どもを預けたくないけれど、保育所の空きが中々見つからない状況で、親側に保育所を選んでいる余裕はないという現実。

諸外国が子どもを守るために、保育に関する規制を強化する一方で、「待機児童」という問題のみがクローズアップされた結果、次々と規制緩和を推し進めている日本。
これは悪政以外の何者でもない。

林市長の元、待機児童ゼロを実現し、いまや全国のモデルともなっている横浜市ですが、実態は大量の民間保育所を認可したにすぎない。
そして利益追求第一の質の悪い保育所に我々が収めた貴重な税金が流れている。
この横浜の待機児童ゼロにはカウントの仕方にもカラクリがありそう・・・

もちろん、民間保育所にもすばらしい保育園があり、そのような保育園のこともこの本では紹介されています。
しかし、悲しいかな、そのような保育園に子どもを入れることはとーーーっても難しいし、また、外からは、ブラック保育園なのか、すばらしい保育園なのかは、中々見えにくい。
 
 
我が家の場合は下の娘が保育園を卒園したのが今から12年前。まだ横浜市が大きな待機児童問題を抱えていたろです。そのため、上の息子も下の娘も1年目は認可保育園には入れず、料金が倍ほどの無認可保育園に預けました。幸い2年目からは2人とも認可保育園に入れましたが、娘の場合は1年目は息子と違う保育園で、送り迎えに2か所回らなければならないという状況でした。
しかしながら、いずれの保育園も、こども一人一人と向き合ってくれたすばらしい保育園だったと思います。
そう言う意味では我が家は幸せでした。

娘は小学生の頃、将来は保育士になりたいと言っていました。
そういう言葉が出てくると言うことが、保育園時代が楽しかった現れだと思います。

あの頃の保育園の現場から考えると、想像もできない状況がこの本に描かれています。

そんな娘も、私の血を受け継いだのか、理系に進み、今は薬学部で薬剤師を目指しています。
この本を読んで、つくづくと、娘が保育士への道を歩まなくてよかった!
と思ってしまった親バカなおとうさんです(^^;
 
 
しかし、少子化対策のためにも、このままでいいはずがありません。
現場がいやになって辞めた潜在保育士さん方が戻ってこれるような、やりがいのある職場に戻さなくては、そして働く親が安心して預けられる保育所にしなければ、日本に明日はないのではないでしょうか。
保育の現場で、量だけでなく質も取り戻すような政策を唱える人を、選挙で選んでいこうと思うおとうさんなのでした。
 
~ もくじ ~

まえがき
第1章 保育の現場は、今
第2章 保育士が足りない?
第3章 経営は成り立つのか
第4章 共働き時代の保育
第5章 改めて保育の意味を考える
あとがき

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

保育所に預けている親のほとんどが働いている。つまり、勤労し納税し、国の財産である子どもを生み育てている。そこに財源を充てないで、この国の今を、未来を、支えられるのだろうか。(P viii)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

母の状態は子に返る。母に優しい保育園を作らないと、子どもにも優しくなれなくなるのではないか。母を第一に考えて対応し、ケアできる保育園であれば、子どもも幸せになる。ここをきちんと見ることができれば、保育士も専門職として面白みがでるはずだ。(P185)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2858日)、、、
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book20150509
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国境のない生き方

国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)
ヤマザキ マリ
小学館
売り上げランキング: 723

「テルマエ・ロマエ」の作者ヤマザキマリさんが自身のこれまでを振り返りつつ、読んだ本や経験した旅について話しています。というよりも、自身の生き方そのものについて語っています。
スケールがとてつもなく大きな人です。
すばらしい生き方です。
そのような、すばらしい生き方をできる彼女の裏には、すばらしいおかあさんがいたことが、とてもよくわかります。
自分は子どもたちにとって、すばらしい父親であっただろうか、、、
心にチクチク突き刺さってきます、、、
(´・ω・`)

いや、別に「すばらしい」父親である必要はないんですよね。

~ もくじ ~

はじめに
第一章 野生の子
第二章 ヴィオラ奏者の娘
第三章 欧州ひとり旅
第四章 留学
第五章 出会い
第六章 SF愛
第七章 出産
第八章 帰国後
第九章 シリアにて
第十章 1960年代
第十一章 つながり
第十二章 現住所・地球

~ なるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

だとしたら、人間も星みたいなものですね。
それぞれに光を放ちながら、輝いている。生きている間に届かなかった光も、死んだあと、遠い誰かに届くのかもしれない。(P234)

~ もう一つなるほどな一文 ~ (リンクはInBookの該当セリフのページ)

生きていいから、生まれてきたんですよ。
それなのに、なぜ生きていくのかとか、仕事がどうとか、人間関係がどうだとか、私にいわせれば、そんなものは、あとからなすりつけたハナクソみたいなものです。(P252)

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2850日)、、、
読んだ本   626冊 (1日平均0.22冊)
読んだページ 147856ページ(1日平均51ページ)

book20150501
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港町は「はじめて」がいっぱい! 横浜謎解き街歩き

港町は「はじめて」がいっぱい! 横浜謎解き街歩き (じっぴコンパクト新書)
清水 克悦
実業之日本社
売り上げランキング: 22,706

もう25年以上横浜に住んでいますが、福岡から移ってきたおとうさんは、横浜のことはあまり知りません。
おそらくは、小学校で横浜市の地理や歴史を学んだ子どもたちの方がずっとずっとずーーーっと詳しいことでしょう。
横浜は歴史の浅ーーーい街ですが、汽車やガス燈など日本初がたーーーくさんある街です。
そんな横浜のあれやこれやを勉強させていただきました。
「関内」の意味も始めて知りました。
大好きな横浜街散歩がもっともーーーっと楽しくなりそうです。

~ もくじ ~

はじめに
横浜市街図
第一章 横浜・はじめてゆかりの謎を訪ね歩く
第二章 横浜の開港史と街づくりの謎を訪ね歩く
第三章 山手の謎を訪ね歩く
第四章 山下町の謎を訪ね歩く
第五章 中華街の謎を訪ね歩く
第六章 関内・馬車道・日本大通りの謎を訪ね歩く
第七章 伊勢佐木町・野毛・桜木町・みなとみらいの謎を訪ね歩く
第八章 横浜名物の味とみやげを訪ね歩く
参考文献

 
 
これで、、、2007年07月13日以降(2846日)、、、
読んだ本   625冊 (1日平均0.22冊)
読んだページ 147600ページ(1日平均51ページ)

book20150427
atasintiさんの読書メーター